売れる商品がなかなか作れない。コンセプトが重要とは何となく分かるが、正直意味がよく分からないし、どうやって作っていいか分からない
とお悩みの方へ。
マーケティングの用語はカタカナが多く、分かりづらいですね。「コンセプト」を辞書で調べても、分かったような、分からないような・・・
1.概念
2.企画・広告などで、全体を貫く基本的な観点・考え方
引用元:Oxford Languages
何か重要な芯になるものであることは分かるけど、どこか抽象的で「ふわっ」としているように思えますよね。
分からない言葉を「ふわっ」としたまま使っていると、やっていることも、成果も「ふわっ」となります。まずは短い言葉で言い表せるように定義することから始めましょう。
本記事では、マーケティング初心者の方のために、コンセプトとは何かをまず定義し、コンセプト作りに簡単に取り組めるよう、3ステップで解説します。
コンセプトとは? 意味とその目的
コンセプトとは
「誰が」「どんな問題」を「どう解決できるのか(どうなれるのか)」の考え方を短くまとめたもの
です。
「問題(Before)」と「解決策(After)」がセットになっているのがポイントですね。
ビジネスはそもそも、何かしらの問題解決のために存在しています。購入してもらうには、顧客に「問題が解決して理想が手に入るのだな、これは自分にぴったりだ」と感じてもらうことです。そのために、コンセプトを作ります。
コンセプトは商品の機能、色や形、見た目のデザイン、広告のキャチコピーなどすべての構成要素の素となります。
つまり、すべてにおいてガイドになる考え方がコンセプト、ということになりますね。コンセプトを作り、首尾一貫させることで商品やサービスが売れやすくなるのがイメージできますよね。
時折、自分たちが売りたいもの、売れそうだと思うものを作って「売れないのはなぜ?」と悩んでいる方がいます。そこに「誰が」「どんな問題」を「どう解決できるのか(どうなれるのか)があるかどうかを振り返ってみると、売れない原因が分かるかもしれません。
実際にあるコンセプトを例として見てみましょう。
これだけ聞くと、「どこに『問題』と『解決策』があるの?」と思うかもしれませんが・・・
「家や職場(第一、第二の場所)で感じる閉塞感(問題)」と「リラックス、素の自分になれる、発想の転換が手に入る(解決策)」があり、それらを突き詰めた結果、「サードプレイス」となったわけです。
コンセプトのイメージがなんとなく湧いたでしょうか?
コンセプトはいつ作るの?(ポジショニングやUSPとの関係)
コンセプトが何なのかが分かると、「タイミング的にいつ作るの? やっぱり最初?」「ポジショニングとかUSPとカブっている気がするけど、どういう絡み?」と疑問に思うかも知れません。
マーケティングには有名なSTP分析がありますね。最初にやることです。
T(ターゲッティング=細分化した市場のどこを選ぶのか)
P(ポジショニング=その市場の中で見込客に自分のビジネスをどう位置づけるのか)
の略で、S→T→Pの順番で取り組みます。
見て分かるように、大きいところから、小さく絞り込んでいっているのが分かります。コンセプトは顧客の「問題」と「解決策」を考えるのですから、P(ポジショニング)であなたのビジネスの位置づけを行ったあとに考えます。
USP(ユニークセリングプロポジション)は「独自のウリ」ですから、コンセプトをさらに突き詰めたものと考えると分かりやすいかもしれません。スタバの場合、「家でも職場でもない、第3の居場所」がUSPとも言えますね。
コンセプトの作り方簡単3ステップ
コンセプトを作るには、
1)自社の強み
2)ターゲットの痛み・悩み
から考えます。
「ターゲットの痛み、悩み」を「自社の強み」を使って、どう解決するのかを考えることがコンセプトにつながります。
コンセプトを作るには、次の3ステップで進めましょう。
STEP1:自社の強みを洗い出す
STEP2:ターゲットの痛み・悩みを洗い出す
STEP3: 自社の強みを使って、どうターゲットの痛み、悩みを解決できるか考える
STEP1:自社の強みを洗い出す
自社の強みは、他社と比較してみると分かりやすいです。
他社と比較すると、どこも勝てないような気になってしまうかもしれませんが、そうではありません。ここでは「他社と何が違うのか」と考えてみるといいでしょう。
・あなたの顧客はなぜ他社でなく、あなたを選んだのか?
・あなたのビジネスは顧客からどんな点をほめられるか?
・顧客とのやりとりで印象に残っているエピソードは何か?
などの質問に答えてみます。
競合との違いを考える切り口などはポジショニングの記事『【ポジショニングとは】会社のマーケティングですぐ使える方法を5分で解説』もぜひ、参考にしてください。
STEP2:ターゲットの痛み・悩みを洗い出す
ここでは、ターゲットの感情に注目していきます。
痛みというのは、不安、心配、不満、恐怖などです。そうした感情に着目していると、ターゲットの欲求が分かってきます。
スターバックスを例にすると、
・家から職場に向かい、また家に変えるだけの閉塞感から開放されたい
などの痛みや欲求があるかもしれません。
どのようにターゲットの痛みや感情を洗い出していいか分からない場合は、ターゲットが日頃言っていることをヒントにしてみましょう。
話している本人も本当の自分の痛みに気付いていないことがよくあります。しかし、注意して観察していると、言葉の端々や行動に「痛みの本質」「無意識に求めているもの」のヒントがたくさん隠れています。
ターゲットの痛み・悩みを洗い出すには、ターゲッティングの記事
『ターゲティングとは? 小さな会社の顧客像の作り方5つのステップ』もぜひ参考にしてください。
STEP3:自社の強みを使って、どうターゲットの痛み、悩みを解決できるか考える
最後のステップは、ターゲットの痛みを自社の強みでどう解決できるかを考えます。
問題(Before)と解決(After)ですから、BeforeとAfterを埋めるものをコンセプトとしてまとめます。
スターバックスの場合、
・家でも職場でもない第3の場所の提供
がコンセプトとなり、それを実現するために、
・新鮮で香りのよいコーヒー
・心地のよいBGM
・刺激のないインテリアや照明
・フレンドリーな接客
などを通じて、コンセプトを実現させていますね。
まとめたコンセプトが顧客に受け入れられないと意味がありません。次のチェックリストを使い、「問題が解決して理想が手に入るのだな、これは自分にぴったりだ」と思ってもらえるかどうかをチェックしてみましょう。
その問題(Before)と理想の未来(After)にお金を払って手に入れたいと思えるか?
理想の未来は顧客にとって本当に「ハッピーな未来」か?
なぜ、その問題が解決して理想の未来を手に入れられるのか説明できるか? 証拠があるのか? なぜ信頼に値するのか?
他との違い、「それいいね」と思える新しいものを感じられるか?
まとめ
コンセプトを作ると、「なぜ、そのビジネス(商品、サービス)を作る必要があるのか=顧客の問題」と「その商品を使うとどうなるのか=理想の未来」がはっきりします。
すべてにおいてガイドになる考え方がコンセプトです。「問題が解決して理想が手に入るのだな、これは自分にぴったりだ」と感じて購入してもらうために、コンセプトをしっかりと組み立てましょう。