商品は悪くないと思うのだが、対面でもネットでもなかなか売れない・・・売り文句が悪いせい?
と悩んでいる方へ。
受注率が悪いと、キャッチコピーやセールストークなどの売り文句が悪いのかと思ってしまうことがあります。もちろん、そこに原因がある可能性も大いにありますが、もっと根本的で大切なものを見落としている人がとても多いです。
それは、「オファー(ウリ)」です。
「オファー」とは、マーケティング用語でお客さんへ約束する「魅力的な取引条件」のことをいいます。
売り文句を改善することももちろん重要ですが、それよりもまずオファーを見直すことのほうが重要です。
なぜなら、オファーはビジネスの成長を大きく左右する重要な要素だからです。
オファーは受注率を大きく上げる要素であり、すぐ改善ができるのに、ひどいオファーのせいで受注率を大きく下げている会社がたくさんあります。オファーに原因があることを全く気付いていないのです。
そこで、本記事では、聞き慣れない「オファー」について、実例を交えて解説します。
売り文句よりも重要な「オファー」とは
「オファー」はビジネスではよく使われる言葉です。いろいろな意味がありますが、ここではマーケティング用語での「魅力的な取引条件」と定義して解説します。
「オファーは魅力的な取引条件のこと」と言われても、ピンとこないかもしれません。たとえば、次のようなものがオファーに当たります。
・特典やプレゼント
・返金などを含む保証
・特別なサポート
【例】
・購入後90日以内なら、使用済でも理由を問わず返金可能
・月980円で人気作家の小説が読み放題
・パソコンのトラブルを24時間365日電話相談できます
・新車購入をすれば、車内テレビをもれなく無料でプレゼント
・すべてのサービスを30日間無料でお試しいただけます
つまり、顧客にとって「それなら、欲しい!」「買わないと損だ!」と思えるものということです。
オファーはキャッチコピーよりも重要です。なぜなら、どれだけ素晴らしいキャッチコピーでお客さんが話を聞いてくれたとしても、オファーがしょぼいと、お客さんは「今じゃなくてもいいか」「他のところでも見てみよう」など買う決断をしてくれないからです。
実際、マーケティング界で超有名なコピーライターのゲイリー・ハルバートは次のように言っています。
また、同じく超有名なコピーライターのダン・ケネディはオファーの重要性を次のように語りました。
キャッチコピーももちろん大事なのですが、買ってもらえるかどうかは、オファーにかかっているのです。
しょぼいオファーもダメですし、オファーがそもそもないのはもっての他ということになります。
「売れないな・・・」と思っているのであれば、今すぐあなたの会社が提示しているオファーを見直すことを強くおすすめします。
売り文句とオファーの関係
ところで、
「オファーのことは理解できたけど、キャッチコピーやセールストークにすでに入っているよ。どう違うの? 結局売り文句を直すのと同じことでは?」
と、あなたは思うかもしれません。
そこで、売り文句とオファーの関係について簡単に整理しておきましょう。
オファー: 取引の場に差し出す魅力的な条件。キャッチコピーに入っていることもある。
たとえば、次のようなキャッチコピーがあった場合、赤字の部分のようにひとつの要素としてオファーが入ることもあります。
オファーはあれば何でもよいというわけではありません。「それなら買いたい!」と顧客が喜ぶようなものである必要がありますから、顧客の感情をよく分かっていることが前提です。
顧客の悩みや欲求の理解は訴求を考える過程で必ず行うことですから、訴求をもとにオファーを作るということになります。その後、オファーはコピーやセールストークにも反映されるということになります。
訴求については、『売れない商品を売るには? 営業でもネットでも使える訴求を作る5つのステップ』をご覧ください。
今のオファーのどこがいけないのか? 4つの失敗例を今すぐチェック
オファーの基礎を理解したら、次は失敗例を知っておきましょう。
オファーとは、それを聞いた途端に顧客が「すごい!それなら欲しい!」と喜べるようなものであることが大切です。
ところが、失敗オファーは「それ、本当にお客さんが喜ぶの?」になっていることがよくあります。
失敗例の見極めはそんなに難しいものではありません。「それはすごい!」「それなら欲しい!」と思えるものであるかどうかがポイントです。
競合他社とそっくりなオファー
「うちも同じようにやっておけばいいだろう」という程度なら、オファーの意味がありません。競合がやっているのであれば、それはすでに最低ラインであることを覚えておきましょう。
たとえば、どの競合も送料無料なら、あなたの会社も送料無料で当然ということになります。
競合ではなく、あなたの会社を選んでもらうのであれば、さらに魅力的なオファーを追加する必要があります。
価値のないオファー
価値がないオファーというのは、すでに当たり前になっているもの、もしくは無料でも絶対に欲しくないものをオファーにしている場合です。
たとえば、「見積り無料」。見積りなんて無料に決まっています。それはオファーにはなりません。
メルマガ登録を案内するランディングページでこんなオファーが実際にありました。
「メルマガが不要になったら、いつでも解除できます!」
当たり前ですよね。解除のできないメルマガなんて、そもそも法律違反です。
他には、あなたの会社名の入ったマウスパッドや、オタク系のキラキラアニメキャラのPC壁紙など、顧客にとって全く嬉しくないプレゼントなども当たり前のようにオファーされていることがあります。
「新聞をとってくれたら、あと3つ余分に洗剤をつけておきます」という昭和時代を引きずっている新聞の勧誘などもありますね。無料でも、要らないブランドの洗剤はゴミになるだけです。
「それをもらって、本当に顧客は喜び、買いたくなるのか?」というのを今一度問いかけてみてください。
面倒くさい(わかりにくい)オファー
オファーを手に入れるのに時間や手間、お金がかかりすぎるものです。
よくあるのは、美容院や飲食店で20回以上来店して、1000円程度の割引などです。面倒くさすぎます。たとえ20個のスタンプカードだったとしても、3回ごとに割引やプレゼントがある方がモチベーションはあがります。
ポイントの有効期限が早すぎて意味がない、プレゼントと引き換えの顧客情報の入力箇所がやたら多くて面倒くさい、手続きが何回もあったり、複雑すぎて、理解しづらいオファーもよく見かけたりします。
1000時間分のセミナー動画プレゼントというのも見かけますが・・・買うと確かに高額かもしれないけれど、無料でも、それほど時間をかけたいと顧客が思うのかどうかよく考えましょう。量が多ければよいということではありません。
勝てる見込みのない価格競争のオファー
価格を下げるオファーは顧客にとっても分かりやすく、簡単にできますが、ひとつ間違えるとビジネスを潰しかねません。
あなたより資金的に体力のある会社が低価格を提示した時点で負けです。さらに値下げをしすぎるデメリットとして、「安すぎると質が悪いのでは」「怪しい」と敬遠されることです。
ずば抜けた低価格戦略で勝てる場合には、むしろ積極的に取り込めばいいですが、そうでなければやめておくほうがいいでしょう。
以上、4つの失敗例オファーをお伝えしましたが、あなたの会社のオファーに当てはまってなかったでしょうか?
もし、心当たりがあるようでしたら、次項からの「売れるオファー」に改善してみましょう。
成功するオファーの基本6パターンを抑えよう
受注率を上げるためのオファーはざっくり6パターンあります。これらのパターンを応用したり、組み合わせたりするとよいでしょう。
2)特典
3)無料/お試し
4)時短
5)利便性
6)リスクリバーサル
また、他業界ではよく使われているものが、自分の業界では使われていないことも多いので、他業界のオファーをチェックしておくのもおすすめです。日頃から情報のアンテナを張っておき、面白いオファーがあれば、どんどん活用しましょう。
1)価格
割引、値引きを提示するオファーです。
特別価格に値段を下げたり、クーポンを配布するなどがよくある例です。電気量販店では「他店よりも低価格を保証、当店の方が高ければお知らせください」のようなオファーをよく見かけますね。
スーパーでは、お菓子やパン、野菜を「袋に詰め放題●円」というのも見かけますし、即決価格で●万円引き、他社からの乗り換えで●円キャッシュバックなどもよく使われます。
価格オファーの場合、あまり安すぎると、「質が悪いのでは」「怪しいのでは」と敬遠されることにもつながりますので、なぜそんな低価格が実現するのか理由をつけておくことがポイントです。
2)特典
顧客が喜ぶものをプレゼントするオファーです。「顧客が喜ぶもの」というところがポイントで、プレゼントであればなんでもいいというわけではありません(前項の失敗例参照)。
よくある例はポイントです。たとえば、楽天市場でショッピングをすれば、楽天ポイントがたまって、次回のお買い物で使うことができます。
ポイントでもプレゼントでも、顧客が喜ぶもの(有効期限や選択肢の自由度が高い、商品と関連があるなど)であることが大切です。
名古屋ウィメンズマラソンは女性限定参加で、参加特典として「ティファニーのアクセサリープレゼント」「完走したらイケメンのハグ付き」があります。
あなたの顧客が本当に喜んで、「それ欲しい!」という特典とは何でしょうか?
3)無料/お試し
通販の無料もしくは低価格サンプル(お試しセット)、サブスクリプションの30日無料利用、無料セミナー、無料モニターを提示するオファーです。有料のもの、有料級のものを無料もしくは超低価格でオファーします。
このときのポイントは、質や機能をけちったり、制限したりしないことです。ケチるとかえって不満足度を上げてしまうので、逆効果です。試用期間中も有料と全く同じようなものを提供すること。そして、どのくらいの価値があるかをしっかり伝えることです。
何十万もする高価な機器で簡単に売れない場合は、商品を先に渡して、使ってもらった後に払ってもらうという方法もあります。
4)時短
圧倒的なスピードを提供することで、顧客の時間を節約するオファーです。
たとえば、Amazonであれば、プライム会員になっておくと翌日配送が可能になりますね。緊急を要するサービス(車の故障やライフラインのトラブル)などに時間問わず、数時間以内にスタッフが派遣されてくるなどもあります。
長い待ち時間が当たり前になっている銀行や病院その他窓口、いつまでたってもつながらない電話サポート窓口などを待ち時間ゼロにするオファーもおすすめです。
5)利便性アップ
顧客の利便性をアップさせるオファーです。
たとえば、スキーやダイビング、キャンプ、バーベキュー、などアウトドア系で道具が多いものを手ぶらでOKにするなどはよく見かけます。また、コインランドリーでは、ネット上で空き状況や残り時間が確認できるサービスもあり、「行ってみないと分からない」という不便さを解消している例もあります。
あなたの業界で当たり前になってしまっていて、顧客にとって不便なことがないか考えてみるとよいでしょう。
6)リスクリバーサル
購入後のリスクや不安を売り手が引き受けたり、保証するオファー。
返金保証はよく使われます。ただ、お金を返せば何でもたり立つというわけではありません。返金保証があれば、質がよくない商品でも売れるという意味ではないことに注意です。また、返金に細かい条件をつけないことがポイントです。
他には通常よりもずば抜けて良いサポート保証をつけることも購入後の不安を取り除くことができます。
まとめ
成功するオファーは「ずば抜けていること」です。それを聞いた顧客がパッと顔を輝かせるくらい圧倒的なものにすることが重要です。「当たり前」「普通」では受注率を上げることができません。
まずは失敗例を回避しましょう。そして、基本6パターンのオファーをひねってみたり、組み合わせてみたりして、競合に勝てるものを作り出していきましょう。
また、オファーは分かりやすく短い言葉でズバっと価値を伝えられるようにしておくことも重要です。
オファーは後から適当につけておいたり、ケチってつけたりするものではありません。最初にガッツリ圧倒的なものを用意してください。ポイントは「それなら買いたい!」と顧客が言いたくなるかどうかです。
売れないと思ったら、まずオファーを変えてみてください。大きく受注率をアップさせることが可能になります。