売れると思って作った商品が予想外に売れていない。市場では需要があって、他社では売れているのに・・・売れない商品を売るためにはどうすれば?
と悩んでいる方へ。
商品を買ってもらうためには、「誰に」「どんな理想の未来を」をはっきりさせることがポイントです。売れない商品はそれが曖昧なことが多いです。そして、商品の仕様や特徴、メリットだけを必死に訴えている傾向があります。
そこで、本記事では、売れない商品を売るために必要な「誰に」「どんな理想の未来を」を作り出すステップを解説します。
売れない商品を売るには欲しいものは「商品」ではなく「理想の未来」であることを理解する
自社製品のことは、よく分かっていますから、ついつい商品の良さを一生懸命訴えてしまいがちです。仕様、特徴、メリットを全面に押し出してしまいたくなりますね。
しかし、それだけでは見込客は振り向いてくれません。自分のことだと思えないからです。あなたが熱く訴えたことは、見込客の頭の上を素通りしているので、空振りに終わってしまいます。
「どんな理想の未来を提供するのか」は見込客にとっての「価値」です。マーケティングでは「ベネフィット」と呼ばれます。見込客が欲しいのは「理想の未来」であり、商品そのものではないことをまずは理解しましょう。
また、「理想の未来」は「誰(ターゲット)」により、異なることも要チェックです。
【ダイエット食品の例】
理想の未来:運動せずにラクしながら、痩せて美しくなり、結婚相手を見つけること
理想の未来:20代前半の頃のような見た目になって、複数の女性からモテる自分を取り戻すこと
とはいうものの、「誰にどんな理想の未来を」は即興で出てくるわけではありません。そこで、初心者の方でも簡単に考えられるよう、5つのステップにしました。
本当は商品設計の段階で「誰にどんな理想の未来を」が設定されているのが理想です。しかし、この記事を読んでいる方は「売れそうだと思って作ったが、あまり売れていない」という状況でしょう。
そこで、商品はもうすでにあり、「売れていない商品を売る」ということを前提に説明します。
STEP1:商品の特徴・メリット、デメリットを洗い出す
STEP2:誰にぴったりの商品なのかを考える
STEP3:競合の商品を知る
STEP4:特徴・メリットからベネフィットを考える
STEP5:訴求を考えて発信する
STEP1:商品の特徴・メリット、デメリットを洗い出す
まずは、商品の特徴、メリットを洗い出しましょう。
・特徴、仕様
・メリット・デメリット
・強み・弱み
たとえば、ノートであれば、
自社製品ですから、比較的簡単に洗い出しできるはずです。カタログに掲載している情報や、営業トークで話す内容も参考になります。
ポイントは、
1)「そんなこと、当たり前」だと思っていることも書き出す
自社では当たり前になりすぎているが、見込客にとっては新鮮ということもよくありますので、片っ端から出してみてください。
2)デメリット、弱みも書き出す
デメリットや弱みは目を向けるのをつい避けてしまいますが、勇気を出して書き出してみましょう。デメリットや弱みを正直に伝えることは見込客から信頼を得ることができます。
また、別の用途を提案することでネガティブをポジティブに転換できることがあります。
・あまり明るくない懐中電灯 → 肝試しでスリルが出る懐中電灯
・WEBの知識があまりなく、SEOも自信のないホームページ制作 → WEB集客は不要で、名刺代わりに持っておきたい人用のお手軽低コストホームページ
など、表現の仕方により、必要としている人にメッセージを届けることが可能になります。
STEP2:誰にぴったりの商品なのかを考える
STEP1で洗い出した特徴やメリットをよく眺めてみましょう。
・もともと、どのようなターゲット層にしていたのか?
・特徴・メリット・デメリットから考えて、どんな人に役立ちそうな商品なのか? 今までの固定観念を捨て、売れる売れないの判断をせず、自由に書き出してみる。
・顧客の声も参考にする。意外な使い方をしている顧客がいるのではないかという観点で、声を拾い出す。
・書き出したターゲット層の悩みを洗い出す(ネット検索、ヒアリング、市場調査依頼など)
・洗い出した後、ターゲット層候補を検討し、絞る
例えば、資生堂の「シーブリーズ」。もともとは男性向けでしたが、海に行く人も減り、ターゲットが高齢化したので売れなくなりました。そこで、ターゲットを女子高生へ転換、日常使いにしたところ、大きく売上を伸ばすことができました。
こうした例は他にもたくさんあります。従来のターゲットに縛られることなく、柔軟な発想をしてみるとよいでしょう。
もちろん、ターゲットを変えなくてはいけないわけではありません。商品によってターゲットの変えようのないものもあります。
その場合は、「書き出したターゲット層の悩みを徹底的に洗い出す」ことが、訴求ポイントの糸口につながります。
「誰にぴったりの商品なのか」の候補が出てきたら、絞ってみましょう。1つにできればよいですし、迷ったら複数でテストをすればOKです。
STEP3:競合の商品を知る
STEP2で絞ったターゲット層と競合になる商品を調べましょう。
競合の商品を知ることに抵抗を示す人がいますが、見込客から見て何を比較されるのかを知らずに売り出すことは、ギャンブルに近いです。
競合の商品を知るメリットは自社製品の強み・弱みが分かることです。いろいろな切り口でマッピングしてみることで、戦かわずして勝てる場所が把握しやすくなります。
また、商品を売るときに、「他との違い」を語ることは、見込客に「自分にぴったり」と思ってもらいやすくなります。違いを打ち出せることが成否を分ける重要なポイントのひとつであることを覚えておきましょう。
競合を調べるときの切り口については、『【ポジショニングとは】会社のマーケティングですぐ使える方法を5分で解説』も参考にしてください。
STEP4:特徴・メリットからベネフィットを考える
冒頭で説明しましたが、「どんな未来を提供するのか」は見込客にとっての「価値」です。マーケティング用語では「ベネフィット」と呼ばれます。
ネット販売であろうと、対面セールスであろうと、
と覚えておいてください。
ところで、ベネフィットを説明すると、特徴やメリットとの違いが分からなくなる方がいます。
と考えるとよいでしょう。
見分ける方法は、文章にしてみると分かりやすいです。
この文章に当てはめるように、STEP1の特徴やメリットをSTEP2のターゲット層にどんな理想の未来を提供できるのかを書き出してみると、ベネフィットが山のように出てくるでしょう。
それでも上手く書き出せないのであれば、STEP2、STEP3の掘り下げが甘いかもしれません。慣れないうちは何度か戻ってやり直してみてください。
STEP5:訴求を考えてメッセージに整える
STEP4でベネフィットを書き出すことができれば、訴求を作ることができます。ターゲット層に一番響くベネフィットを選び、まとめてみるとよいでしょう。
【例1】
どんな理想の未来を提供するのか: 利益10%UP
商品: WEB集客法
特徴: 1000社の窮地を救った
【例2】
どんな理想の未来を提供するのか: マイナス5歳見え
商品: 美白化粧品
特徴: 元スーパーモデルが開発し、アンデス奥地の希少な薬草成分が入っている
これをもとに、営業トーク、チラシ、ネット通販、メルマガなどのメディアに適した長さに表現を整えて完成です。
まとめ
売れない商品を売るためには、「誰に」「どんな未来を」の2つをはっきりさせることがポイントです。
自社の売り文句にこれら2つが分かりやすく表現されているかどうかをまず確かめてみましょう。なければ、STEP1〜STEP5に従って、取り組んでみてください。
最初から簡単に完璧なものができあがるわけではせん。STEPを途中で何度か戻ることがあるでしょう。また、選びぬいたもので売ってみたものの、売れないこともあるかもしれません。
売れない商品が売れるようになるには、何度も改善を繰り返して作り上げていくことが重要です。この過程を繰り返していくことで、顧客視点がブラッシュアップされ、成果が出るようになってくるでしょう。