飲食店は「料理がおいしい」「安く食べられる」だけでは難しい。集客が大切なのは分かっていたけれど、何とかなると思いきや、実際何から始めてよいのか分からない。
とお悩みの方へ。
きっと、あちこちで「飲食店向けマーケティングには●●を使うと良い」という言葉を聞いていますよね。しかし、何かの集客手段に飛びつくことがマーケティングではありません。
そこで、本記事では、「マーケティング」を聞くと思わず頭痛がする人のために、どんな視点を持って、何から始めればよいかを解説します。
飲食店のマーケティングSTEP1:「マーケティング」を分かりやすい言葉で理解する
「マーケティング」と聞いて頭痛がするのは、「カタカナで何だか意味のよく分からない言葉」だからかもしれません。言葉が理解できないと「自分にはできるはずがない」と思ってしまって当然です。
「マーケティング」とは、次のことを指します。
あなたのお店に来てもらう人を増やすための活動すべて
さらに、
その活動を一連の流れに組み立てる(仕組み化)すること
ところまでを含みます。
お客さんに来店してもらうために日頃から「チラシを配る」「食べログに掲載する」「看板メニューを開発する」など、きっといろいろなことをされていますね。
それらは「マーケティング」の一部です。「チラシ=マーケティング」「食べログ=マーケティング」ではありません。
冷蔵庫で例えると・・・
仕組み=冷蔵庫全体
チラシ=冷蔵庫の一部(取っ手とか温度調整のツマミなど)
つまり、冷蔵庫が効率よく機能するように常に全体を把握しながら、「どんな取っ手にしようか」「どんな温度調整ツマミにしようか」と考えるイメージです。
ここで、「一連の流れに組み立てる(仕組み化)する」について、少し補足します。
あなたのお店には、スムーズなオペレーションができるよう、決まった流れがありますね。たとえば、次のような感じです。
・お客さんを席へ案内する
・オーダーを取る
・オーダーを厨房へ伝える
・オーダーに基づき料理を作る
・料理をお客さんにお出しする
・追加オーダーなどのお声がけをする
・お会計をして、ご来店のお礼を伝える
など。
こうした流れを「お店に来てもらう人を増やすための活動」にも作っておくことが、マーケティングなのです。
【例】
↓
・来店してもらう
↓
・来店してもらったら、連絡先を入手する(プレゼントや特典と交換)
↓
・お礼のメッセージを送る
↓
・リピートしてもらえるように、定期的に情報を届ける
面倒に感じるかもしれませんが、お店のオペレーションを想像してもらうと、仕組みがある方が圧倒的に効率的であることが分かりますね。
飲食店のマーケティングSTEP2: コンセプトを考える
あなたのお店に来てもらう人を増やすための活動を仕組み化するために、早速仕組み化したいですね。
「お店に来てもらう人を増やすための仕組みを作る」ためには、まず「誰に」「何を(どんな未来を)」「どうやって」提供するのかを考えます。
ついつい集客の手段にばかり目がいって、先に「チラシを配る」「インスタをやる」などに飛びついてしまいがちですが、「誰に」「何を(どんな未来を)」が決まっていなければ、穴の空いたザルを使っているのと同じです。労力の割に効果が出ません。
仕組み化するには、まず土台(コンセプト)を作りましょう。
そのために、まず次の2つのことを考えます。
1)どんなお客さんを集めたいのか
2)そのお客さんに、来店してもらうことで、どんな体験(理想の未来)をしてもらいたいのか
を考えることです。
このコンセプトをもとに、どういう順序で、どんな手段=ザル(チラシ、SNS、Googleマイビジネス)で何を伝えるのかを決めていくのです。
いろいろな集客手段を使っているのに、思ったように効果がでていないのであれば、まず、コンセプトを振り返ってみることから始めてみましょう。
「誰に」「どんな体験(理想の未来)を」が定まっていると、適切な手段で適切なメッセージ(発信)を出せるようになるので、あなたの来てほしいお客さんを効率よく集められるようになります。
「誰に」というのは、マーケティングでは「ターゲット」に当たる部分です。
「どんな体験(理想の未来)を」は例えば「安く短時間で食事を済ませられる」「恋人と特別な時間を誰にも邪魔されず過ごすことができる」「日本でその素材を味わうことができる」「女性がひとりでも気兼ねなくお酒を飲むことができる」などです。
コンセプトを考えるにあたり、さらに詳しく「誰に」「どんな体験(理想の未来)」について知りたいときは、次の記事も参考にしてください。
ターゲティングとは? 小さな会社の顧客像の作り方5つのステップ
【ポジショニングとは】会社のマーケティングですぐ使える方法を5分で解説
売り文句が駄目だから売れない?その前に見直すべきたった1つのこと
飲食店のマーケティングSTEP3:仕組み化する
「誰に」「どんな体験(理想の未来)を」の土台が固まり、コンセプトができたところで、「どうやって」を考えていきます。
1)全体の流れを(冷蔵庫全体)を考え
2)各過程でどのような手段(冷蔵庫のパーツ)を使うのかを決める
誰でも最初から大成功する仕組みと手段を一発で作ることはできません。ある程度の時間とお金がかかります。
とはいえ、誰でも時間とお金には限りがありますから、小さくできることから始めましょう。
まずは現状できていることを書き出し、全体を把握するところから始めてみます。
「上手くいっていないな」と思っていても、現状を書き出すことで「成功している部分」「自分たちが得意とするやり方」に気づくこともあるからです。
その上で、ユーザーの購買行動モデルと照らし合わせ、改善できること、やめること、新しくできることを探していきましょう。
尚、購買行動モデルは仕組みとは違います。限られた時間とお金で小さな仕組みを作るために、お客さんの行動に沿って考える物差しのようなものだと考えてください。
購買行動モデルは世の中に数多く存在しています。ここでは、シンプルに取り組める基本のAIDA(アイダ)を解説します。
1)注意(認知):Attension
2)興味:Interst
3)欲求:Desire
4)行動:Action
本項ではAIDA(アイダ)の大まかな流れだけを解説しています。具体的な集客方法は(仮)飲食店 集客 をご覧ください。
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1)注意(認知):Attension
ご存知の通り、お店を開いたからといって、お客さんがゾロゾロやってきてくれません。
まずは「お店の存在に気づいてもらう」こと。気づいた人が全員来店してくれるわけではありませんから、「いかに露出できるのか」がポイントとなります。
ここで役立つのがSTEP2の「誰に」です。あなたのお店に来てくれるお客さんは普段の生活の中でどういう経路で情報を得ているのでしょうか? きっとひとつだけではないはずです。
・グーグルで検索して調べる?
・食べログをよく見ている?
・インスタなどのSNSでタグ付けされた情報で検索している?
・チラシ?
・Youtube?
・地域のフリーペーパー?
あなたのお店の存在を何で知らせるとよいでしょうか。「お客さん視点」で「複数」考えてください。
2)興味:Interst
存在に気づいた後は「興味をもつ」という段階に入ります。
お客さんにあなたのお店の存在に気付いてもらうだけでは、お店にきてもらえません。「このお店気になる!」と思ってもらうには、どんな情報を提供するかがカギになります。
飲食店であれば、視覚的に訴えることがもっとも効果的でしょう。また、お客さんが検討してくれるだけの必要最低限の情報も必須です。
ここでも、STEP2の「誰が」が役立ちます。「誰が」がはっきりしていれば、どんな情報をどうやって発信すればよいのかが分かるからです。
また、「どんな体験(理想の未来)を」も役立ちます。「安く短時間で食事を済ませられる」「恋人と特別な時間を誰にも邪魔されず過ごすことができる」「日本でその素材を味わうことができる」「女性がひとりでも気兼ねなくお酒を飲むことができる」など、あなたのお店が提供できる体験を発信しましょう。
3)欲求:Desire
あなたの発信した情報で条件が合えば、次は「お店に行ってみたい」という段階に入ります。欲求が生じてはじめて、「来店」という行動につながっていきます。
欲求を高められるようなメニューやサービス、演出を企画しましょう。また、欲求を下げてしまうようなこと(情報不足や問い合わせの方法が分かりづらい、面倒など)を徹底的に排除しましょう。
4)行動:Action
実際に来店して、食事をする段階です。「満足した」と思ってもらうことはもちろん、「また来たい」「自分はもう来れないけど、誰かに教えたい」など、今後につなげていくには、現場でどんなことをすればよいか考えてみましょう。来店後にお客さんをフォローできる方法も合わせて考えると効果的です。
現状の店舗オペレーションがあるはずですから、そのオペレーションを書き出し、改善点を見つけて実行してみましょう。
まとめ
飲食店でできるマーケティングを理解するための3つのステップを簡略化して解説しました。
マーケティングで大切なことは、必ず「計測」と「定期的な見直し」をセットにしておくことがポイントです。やりっぱなしでは、評価することができず、改善することができないからです。
先に説明したとおり、仕組み化までしようとすると、そこそこの時間とお金とスキルが必要になってきます。
自力で難しいと感じたら、飲食店や地域ビジネスに強いコンサルタントにサポートを求めるのも、ひとつの手です。その際は決してコンサルタントの言葉を鵜呑みにしないことが大切です。最終的な責任を引き受けるのは、あなた自身であることを忘れず、コンサルタントと協力しながら進めていきましょう。