【差別化を図る3つのステップ】「独自」だけではない「圧倒的なウリ」とは

チェック差別化というけれど・・・同業者ならどこでもできることを商売にしているから、難しい。やったとしても、真似されそう。

と悩んでいる方へ。

「価格を下げれば、他社も下げてくる。納期を早めても、他社も対応してくる。」と思ってしまうかもしれませんね。特別に優れている何かが見いだせるわけでもないと、差別化を図ることは難しく感じるかもしれません。

そこで、本記事では、あなたの会社でできる差別化の3つのステップを解説します。

差別化を図るためにやるべきこと(USPよりも強烈なもの)

差別化を図るためにやるべきこと(USPよりも強烈なもの)

差別化を図る目的は「あなたの商品・サービスを買ってもらうため」です。

誰か他のものでなく、あなたのものを買ってもらいたい。しかも、戦わずして選ばれたいですよね。

とはいうものの、「戦わずして選ばれる」と言うのは簡単ですが、戦略なくしては難しいことです。あなたの商品やサービスが消費者に比べられることは当たり前のこと。これだけモノやサービスが溢れかえっている世の中では、まずは比較検討の土俵に上がることすら大変です。

差別化にはUSP(ユニーク・セリング・プロポジション/独自のウリ)というマーケティング用語が使われますね。ところが、実際には「独自(ユニーク)」であるだけは不十分とも言われます。

「オレなら3秒で売るね(原題:The irresistible offer)」の著者、マーク・ジョイナーはUSPではなく、「圧倒的なウリ(The irresistible offer/直訳:抵抗できないオファー)」を提唱しています。

俺の言っている圧倒的なウリは、すでに店にいて、どれがいいのかと迷っている人に、あなたの商品を手に取らせる・・・というのではいけないんだ。「いますぐにでも」車を飛ばして、あなたの商品を手に取らせるほどのものだ。

ユニークだ、というだけで、あなたの売り上げがうなぎのぼりになるなんてことはない。

マーク・ジョイナーは

モノを買う時には、俺たちはいつも自問自答している

と説明しています。次の4つの顧客の自問自答に答えられるのかが、ビジネスの前提ということのようです。

1.あなたは何を売りつけようとしているの?
2.で、それっていくらなの?
3.あんた、信用できんの?
4.それって、私に何の得があんの?

差別化を図るには、この質問に答えられるところから始まるわけですが・・・あなたはこの質問に答えられますか?

差別化を図るために、ターゲット設定・競合リサーチは必須

差別化を図るために、ターゲット設定・競合リサーチは必須

もし、先の4つの質問に答えられないとなれば、いきなり差別化の戦略を立てることは難しいでしょう。

なぜなら、圧倒的なウリとは、
「いますぐにでも」車を飛ばして、あなたの商品を手に取らせるほどのもの
だからです。

ですから、「誰に」「何を申し出るのか」があなたの中で明確である必要があります。

もし、明確でないのであれば、次の2つをやっていないか、不十分ということです。

1.ターゲット設定
2.競合リサーチ

そこで、本項ではターゲッティングと競合リサーチについて解説します。

ターゲット設定5つのステップ

ターゲット設定5つのステップ

どの市場に入るのかが決まれば、「理想の見込客像」を絞りましょう。このときの人物像は「たったひとり」に絞ります。

たったひとりの人物像に絞っておくと、その人の「悩み」「理想の未来」にブレがなくなります。ブレがなくなれば、商品やサービスを開発するのはもちろんのこと、発信するメッセージを作り出すことが簡単になります。

たった一人に絞ってしまうことで、集客できなくなるんじゃないかと思うかもしれませんが、心配いりません。しっかりと絞り込むことで、より広い対象の見込客が集まってくるようになります。

ひとりにグサっと刺さるようにすることが、多くの人を動かすと覚えておきましょう。誰にでもよさそうなものは、誰にもどうでもいいのです。

ターゲット設定は次の5つのステップで行います。

STEP1: 理想の見込客を決める

まずは理想の見込客を決めましょう。

・今までの優良顧客
・友人、知人、家族など
・過去の自分自身
・まったくの架空の人物

理想の見込客の顔と名前、細かい情報を隅々までイメージできることが大切です。そういう意味では実在の人物が分かりやすいですね。架空の人物を作り上げることもできますが、自分の思い込みが入るとブレてしまうことがあるので、難易度が高いです。

STEP2: 統計的データを書き出す

名前、性別、年齢、職業、勤続年数、居住地、休日の過ごし方など、データ的なことを書き書き出してみます。名前は重要です。名前がついていることで、イメージがとてもリアルになるからです。「田中太郎」という名と、「40歳会社員」というデータでは、頭に浮かぶイメージがまったく違いますよね? そのイメージがターゲッティングにはとても大切なのです。

STEP3:心理的状況を書き出す

STEP2の統計的データを踏まえて、例えば、仕事や家庭の悩みは何なのかを書き出してみます。どんなライフスタイルを望んでいるのか・・・本当は休日をどう過ごしたいのか、収入は増やしたいのか、現状維持がいいのか、リストラされることを心配しているのかなどです。

STEP4:現在地と理想の未来を書き出す

STEP2と3で見込客の悩み・希望が分かりました。悩みは現状を表しています。次のSTEPでは、それらをどのくらいの時間かけて解決したり、手に入れたいのかを考えます。それが実現した先にはどんな世界が待っているのかをイメージできるように書き出してみます。

ここまで取り組むと、立体感のある人物像が浮かんできます。

STEP5:人物像をさらにブラッシュアップする

Yahoo知恵袋、OKWAVEなどの疑問・質問サイトをチェックするのがおすすめです。どのような言葉(キーワード)を使っているのかを調べます。あなたの想像していない言葉をよく使っていたりすることがあります。

また表面上の疑問に対し、本質的(潜在的)な悩みは何なのかを考えてみるのも重要ポイントです。

例: 読書量をもっと増やしたいけれど、どうすればいいのか?
→ 物知りになって、周りからすごいと思われたい。

これらを洗い出し、人物像にさらに磨きをかけてみましょう。

競合リサーチ3つのステップ

競合リサーチ3つのステップ

あなたの商品・サービスの強みを考えようとすると、顧客目線になりづらく、的外れになってしまうことがあります。

それを防ぐためにも、競合リサーチをすると、自社の商品・サービスの本質が客観的に浮き彫りになります。圧倒的なウリを考えるためにも、他社のことを把握しておくことは大前提です。

ときどき、「自社サービスは他にあまり競合がないので、リサーチする必要はないのです」という方がいますが、競合とは「あなたから見た」ものではありません。見込客から見たときに、「どこと比較検討しているのか」ということです。

競合というのは、ガチに被る競合(直接競合)ばかりではありません。顧客のベネフィットから見たとき、手段(商品・サービス)が全く違っていても、同じ理想の未来を手に入れられるものであれば、競合として考えなくてはいけません(間接競合)。

つまり、競合リサーチをしない、という選択肢はないのです。競合リサーチにあまり手を付けていない方のために、その手順を3ステップで簡単に解説します。

STEP1:自社の競合を考える

直接競合(同じような商品、サービス)と間接競合(同じベネフィットをもたらすもの)をリストアップする。有名、無名に限らず、価格帯などもさまざまで考えてみる。

たとえば、コーヒーショップの場合

直接競合:スタバ、ドトール、エクセルシオールカフェなど
間接競合:デニーズ、ガスト、ジョナサン、ロイヤルホストなど
※ベネフィット=出勤前に美味しい朝ごはんを食べる場所とした場合
(ターゲットにより、ベネフィットによって異なる)

STEP2:理想の顧客が比較しそうな項目を洗い出す

あなたの理想の顧客が比較しそうな項目を洗い出してみる。価格、パッと見のウリ、提供方法、集客方法、立地、ビジネスモデル、世界観やスタンス、メリット、デメリット、コストパフォーマンスなどをあげて表にし、直接競合・間接競合ともに項目を埋めていく

STEP3:理想の顧客目線で見比べ、気づいたことを書き出す。真似できるところは取り入れる。

顧客目線で見比べたとき、あなたの理想の顧客がどこに喜び、どこに不満を持ちそうか書き出してみる。すると、自社の強みが分かり、「独自性」に気づくことができます。

とはいえ、差別化だからといって、「独自性」ばかりに目を向けず、顧客に喜ばれるのであれば、真似をすることも考えてみる。

差別化を図る3つのステップ

差別化を図る3つのステップ

ターゲット設定と競合リサーチができたところで、いよいよ差別化を考えていきます。

差別化を考えるには、次の3つのステップで考えます。

STEP1: 断れないオファーを考える
STEP2: 短い言葉(売り文句)にする
STEP3: 信頼性を説明する

STEP1:断れないオファーを考える

断れないオファーを考える

あなたの商品・サービスは理想の顧客に対して、どのような魅力的な取引条件(オファー)を提案できるでしょうか?

「いますぐにでも」車を飛ばして、あなたの商品を手に取らせるほどのものだ。

理想の顧客の「悩み」「手に入れたい理想の未来」を叶えるものを「他の誰か」「あなたから買いたい」と思ってもらうために、どのような取引条件を差し出すのか考えてみましょう。

あなたの差し出した魅力的な提案に対して、顧客が「費用対効果が高い」と思ってもらうにはどうすればよいでしょうか。

もしあなたが、自分の扱う商品それ自体を魅力的なものにできないのなら、付加価値をつけて魅力的なものにする方法を考えてみよう。

おまけのサービス、おまけの機能、おまけのベネフィット・・・何でもいい。お客にとって「こりゃ得だな」と思わせるものをプラスするんだ。
マーク・ジョイナー

有名なドミノ・ピザの「30分で届かなければ無料」というオファーは多くの人の興味を引きました。当時、ドミノ・ピザの味は今のように美味しくなかったと言われています。

このウリの中では一切、味に触れてはいません。しかし、これが爆発的な結果を生みました。費用対効果が高い(30分で届く/しかもアツアツ/遅ければタダになるかもしれない)と思ってもらえたからです。

(もちろん、その後ドミノ・ピザは味のよいピザを作る努力をしているから今があることは言うまでもありません。勘違いのないように。モノがいいのは、今や最低ラインです。)

ドミノ・ピザは「早くて、安くて、美味しい」という圧倒的なコストパフォーマンスがあるのです。

付け加えておくと、価格が安いのは差別化のひとつの要素になります。それで勝負できるなら、勝負に出ましょう。ただし、他の誰かに真似をされても成り立つのかどうかをよく検討する必要があります。

また、「価格が高いから売れないのではないか」ということはありません。顧客があなたのオファーに対して「費用対効果がある」と思えば、売れるのです。

ところで、費用対効果というのは、価格だけの話ではありません。ターゲット設定と競合リサーチ、さらに自分の強みを活かすことにより、どうすれば購入時の不安を取り除くことができるのかを考えてみましょう。

・価格
・リスク
・特典
・時短
・利便性
・希少性
・簡易性
・緊急性など

今までに何もない新しいものを生み出す必要はありません。競合の良いところはどんどん取り入れ、さらに「まだ解決されていない不安・悩み」にどう応えるのかを考えてみるのです。

それは自社が「大手ではないから無理」ということではないはずです。あなたの会社だからこそできること(大手はできないこと)は何なのかを考えてみてください。

なお、次のようなオファーにならないように気をつけましょう。これでは「いますぐにでも車を飛ばしてあなたの商品を手に取りたくなる」にはならないですからね。

・他社と似ている
・価格競争だけをしている
・顧客になんの価値もない提案をしている
・顧客が理解しづらい提案をしている
・顧客にとって面倒な提案をしている

STEP2:「断れないオファー」を短い売り文句にする

「断れないオファー」を短い売り文句にする

ドミノ・ピザの「30分で届かなければ無料」はとても短く、簡単で分かりやすいですね。誰が読んでも、誤解することはありません。

ドミノ・ピザのように、いきなり完璧な売り文句にすることはできないでしょう。最初は長くなってもいいので、文章にまとめてみる。それから、どんどん不要なところを削いでいきましょう。顧客は考えることが大嫌いですから・・・

最終的には、次の4つになるよう、ブラッシュアップを目指していきましょう。

・難しくなく、シンプルであること
・誰がいつ読んでも解釈が変わらないこと
・顧客が「おお!今すぐほしい」と思えること
・自社の方向性からブレていないこと

STEP3: 信頼性を説明する

信頼性を説明する

当たり前ですが、「断れない魅力的なオファー」と「短く分かりやすい売り文句」だけでは、購入してもらえません。信頼性がないと、「あなたから買う理由」がないからです。

信頼性がないと、たとえ、うっかり1回目を購入してもらうことがあっても、継続的な取引は見込めないでしょう。

信頼性を説明できるものとして、次の3つをお伝えします。自社で取り入れられることはすべて実行しましょう。

・お客様の声
・実績/推薦(成功事例、社会的権威、影響力のある人の推薦、資格、賞など)
・客観的なデータ、理論的な説明

以上、差別化のための「圧倒的なウリ」を考える3つのステップを解説しました。

ここまでできれば、冒頭のマーク・ジョイナーの4つの質問にも必然的に答えられるようになります。

1.あなたは何を売りつけようとしているの?
2.で、それっていくらなの?
3.あんた、信用できんの?
4.それって、私に何の得があんの?

こうした要素を説明できるものを営業トーク、ホームページやメルマガ、ニュースレターなどで発信していくと、どんどん選ばれやすくなっていきます。

最後に・・・「真似されたらどうするか?」

「真似される」というのは、あなたのしていることが良いものだと評価されていることです。さらに先を走り続けられるよう、また差別化に取り組みましょう。

この繰り返しをしていくことで、どんどんブラッシュアップされ、ますます選ばれやすくなっていきます。

まとめ

まとめ
以上、差別化を図るための3つのステップ(断れないオファー/短い売り文句/信頼性)を解説しました。

「あなたの商品・サービスを買ってもらうため」の差別化は、「圧倒的なウリ」が必要です。そのための前提として、ターゲット設定と競合リサーチが必要です。できていないのであれば、すぐ取りかかってください。

USPの「独自のウリ」はもちろん、「いますぐにでも」車を飛ばして、あなたの商品を手に取らせるほどの差別化につなげていきましょう。