顧客単価をアップさせる方法として、『クロスセル』というやり方があると聞いた。『アップセル』『クロスセル』もあるらしいが、意味の違いやメリット、具体的な例を知りたい
「売上をアップさせたいと思うが、新規顧客を集めてくるのはなかなか難しい。どうすれば・・・」
と悩んでいる方へ。
客数を増やすことが難しくても、顧客単価を上げることで売上アップは実現できます。その方法のひとつが『クロスセル』です。
『クロスセル』は身近なショッピングでも、よく見かける営業手法です。具体的な例を聞けば、「なるほど」とすぐ納得ができますし、すぐ実施できる、比較的簡単な方法です。
『クロスセル』とよく似た用語として、『アップセル』『ダウンセル』もあります。マーケティング用語はカタカナが多くて、聞いただけでは分かりづらいですね。
そこで、本記事では『クロスセル』という言葉を初めて聞いた方向けに、意味やメリット、例、『アップセル』『ダウンセル』との違いなどを簡単に解説します。
クロスセルとは
クロスセルとは、『関連商品をおすすめすること』です。英語では ”Cross-selling“ と表記します。Crossというと、十字架を思い浮かべる人が多いかもしれませんね。他には『雑種の』という意味もあります。抱き合わせ販売というと、意味が伝わりやすいかもしれません。
本項ではクロスセルの基礎知識として、次の3つについて解説します。
・クロスセルのメリット
・アップセル、クロスセル、ダウンセルとの違い
・クロスセルを活用するためのポイント
クロスセルのメリットは顧客単価を上げられること
クロスセルのメリットは『顧客単価を上げられること』です。クロスセルは日常の買い物でも、たくさんの例をみつけることができます。
【例】
1000円のランチに500円のデザートが増えれば、顧客単価は1500円ですね。仮に一日のランチで10人のお客さんがクロスセルでデザートを頼んでくれたとすると、次のようになります。
・単価1000円 × 10人 = 10,000円デザートつきの場合
・単価1500円 × 10人 = 15,000円
「なんだ、5000円だけアップか」と感じるかもしれませんが、単純計算すると・・・
12ヶ月後 ランチのみ3,600,000円/デザートつき5,400,000円
となります。
このように、少しでも顧客単価を上げるようなセールスすることで、売上に大きな差が出てきます。
クロスセルの他の例では・・・
・スーパーのレジ近くで『ついで買い』ができるようにしておく
・スマホの購入者に保護シートやカバーなどを勧める
など、たくさんの例を見つけることができます。
アップセル、ダウンセルとの違い
クロスセルのように顧客単価を上げるための手法として『アップセル』『ダウンセル』があります。
用語はいろいろありますが、簡単に言うと、どれも『顧客単価を上げる方法』であることに変わりはありません。
アップセルとダウンセルについて、詳しくは下記をご覧ください。
【アップセルとは】初心者向けに意味・メリット・例を超簡単5分で解説
【ダウンセルとは】初心者向けに意味・メリット・例を超簡単5分で解説
顧客単価アップはセールス設計段階で組み込むのがポイント
今回はカフェのメニュー例を先に紹介しました。実店舗の例ですね。
他には、同じ方法をネットショップでも使えますし、コンサルティングのように無形のものを売るときにも活用できます。
大切なことは、顧客単価を上げること。『アップセル』『クロスセル』『ダウンセル』をすべて、セールス設計全体にあらかじめ組み込んでおくことがポイントです。
『アップセル』『クロスセル』『ダウンセル』はマーケティングの現場で当たり前に行われていることです。
こうした用語を初めて聞いた方には分かりづらいと感じるかもしれません。そういうときは、あなたの買い物を思い起こしてみると、たくさん例が見つかります。
たとえば、Amazonなどのネットショッピングの画面は勉強になります。購入画面をよく見てみると、顧客単価をあげるための工夫があちこちに仕込まれています。
また、携帯電話会社、スーパーやコンビニ、ファミリーレストラン、ファーストフード店などもクロスセルの宝庫です。
さりげなく顧客単価を上げられる仕組みになっているのを発見することができますので、観察しながら、あなたのビジネスに活かせる要素がないかを考えてみましょう。
クロスセルを実施するために必要な2つのこと
クロスセルを解説すると、「簡単に顧客単価をアップさせる方法」として、魅力的に感じるかもしれません。
ただ、気をつけなくてはいけない点があります。『アップセル』『クロスセル』『ダウンセル』に関わらず、違和感のないように自然におすすめすることが大切です。そうでなければ、
押し売りのような印象を与えてしまい、顧客流出につながってしまう可能性があるからです。
再現性、持続性のある『アップセル』『クロスセル』『ダウンセル』を実施するために必要なことを大きく2つお伝えします。
今の状態からすぐに完璧な顧客単価アップを実現することは難しいかもしれませんが、効率的な売上・利益アップのためにも、コツコツと取り組んでください。
顧客教育を行うこと
セールスばかりに偏りすぎず、日頃から顧客との接触を頻繁に行い、関係性構築と顧客教育を図っておくことが大切です。
顧客がどのような悩み・課題を抱え、どのような理想を手に入れたいと考えているのかを情報収集しておく必要があります。
その上で顧客にとって価値ある情報の提供を行い、商品やサービスの必要性を伝え、信頼性を築いていきます。この土台があってこそ、いざ『アップセル』『クロスセル』『ダウンセル』をしたときに購入してもらうことができるのです。
顧客管理を行っていること
『アップセル』『クロスセル』『ダウンセル』を効果的に行うためにも、顧客管理が必須になってきます。顧客を見込客、新規顧客、既存顧客に分けて、購買履歴などを管理することが必要になります。そのためには数値測定・分析、テスト、仮説立て、検証、改善を欠かすことができません。
『アップセル』『クロスセル』『ダウンセル』を戦略的に設計し、適切なタイミングと手段で適切な商品を適切な顧客にセールスしていく必要があります。
ピンポイントでクロスセルをすれば売上が上がると安易に考えるのではなく、再現性、持続性のある仕組みを構築し、その中でどのようにクロスセルを活かせるのかを考えていきましょう。
まとめ
以上、簡単にクロスセルについて、初心者の方向けに解説しました。
クロスセルとは、売った商品に関連するものを一緒におすすめして顧客単価を上げる営業手法です。
顧客との信頼関係がしっかりしていれば、クロスセルをすることで良い印象を与えることもできます。関連商品をおすすめすることで、よりよい価値を提供することができるからです。
そのためにも、日頃から顧客との関係性構築、顧客管理、計測や検証、改善をしっかりとしておきたいものです。
こうした取り組みを積み重ね、顧客単価、売上、そして利益アップにつなげていきましょう。