【ライフタイムバリュー(LTV)とは】意味、計算式、売り方を分かりやすく解説

チェック各商品を売るときの粗利は考えているが、売上げアップの底上げにはなかなかつながらない・・・

と頭を悩ませている方へ。

継続的、安定的に利益を上げていくためには、できるだけ長く付き合える顧客を増やしていくことが大切です。

商品単体の粗利だけを考えるのではなく、長期に渡って効率的に売上を上げられる仕組みを構築していく必要があります。

そのために必要な指標をライフタイムバリューと呼び、略してLTVと呼ばれます。

本記事では、LTVの意味、計算式、売り方のポイントなどを分かりやすく解説します。LTVを向上させるための入門編として、自社の戦略に活用して下さい。

LTV(ライフタイムバリュー)とは

LTV(ライフタイムバリュー)とは
LTV(ライフタイムバリュー)とは「生涯価値」のことです。ひとりの顧客が自社のサービス利用を終了するまでに「どのくらいのお金を払ってくれるのか(売上)」を表すマーケティングの指標です。

文字通り、できるだけ長いお付き合いをできれば、LTVは高くなっていきます。LTV向上のメリットは、継続的かつ効率的に収益を上げられることです。そのためにはLTVについてよく理解し、セールス設計の段階から戦略を練っておく必要があります。

本項では、LTVの計算式について解説します。

ライフタイムバリュー(LTV)の計算式

ライフタイムバリュー(LTV)の計算式
ライフタイムバリュー(LTV)の計算式を2つ紹介します。

【計算式1】LTV =  購買単価 x 購買頻度 x 継続期間

【計算式2】LTV = 年間売上 ÷ 1年間の顧客数
※ここでは年間としてますが企業によって期間設定を変えてください。

【計算式1】から分かるように、LTVを上げるには「購買単価」「購買頻度」「継続期間」の3つの要素を少しずつアップさせる施策を行えばよいことがわかりますね。まず、この3つの要素を覚えておきましょう。

その上で、自社のLTVを早速算出してみましょう。

と、ここで、「継続期間って、どうやって出すの?」という疑問が湧いてくるかもしれません。

そこそこの事業期間がある企業であれば、継続期間を出すことも可能でしょう。しかし、創業間もない会社の場合、継続期間を正確に把握することができません。

その場合、【計算式2】を使うとよいです。正確な継続期間が分からなくても、直近1年の現実的なデータを得られることになります。1年間の平均顧客単価が分かります。

LTVの計算式は他にもあります。より詳細に算出するための要素を入れることも可能です。計算式は自社の状況に合わせて変えていくようにしましょう。

【計算式2】を使うとしても、LTVを上げるためには「購買単価」「購買頻度」「継続期間」をどうアップさせればよいのかというポイントには変わりありません。

ライフタイムバリュー(LTV)を向上させる売り方のポイント

ライフタイムバリュー(LTV)を向上させる売り方のポイント
続いて「購買単価」「購買頻度」「継続期間」の各要素をアップさせる売り方のポイントを解説します。

この3つの観点から現状の売上を分析すると、自社が取り組めていない部分を把握することができるようになるでしょう。

それをカバーするように、各要素をそれぞれ少しずつアップさせることができれば、LTVを向上させることができます。

購買単価のアップ

購買単価のアップ
購買単価をアップさせる方法として、代表的なものを3つ紹介します。

アップセル・クロスセル・ダウンセル

【アップセル】

アップセルとは、より単価の高い商品やサービスにアップグレードして購入してもらうことです。品質のよいもの、サポートが充実した上位商品をおすすめすることです。

アップセルは単に単価を上げられるだけでなく、よりグレードの高い商品を利用してもらうことで、顧客満足度をあげることにもつながります。

詳しくは「【アップセルとは】初心者向けに意味・メリット・例を超簡単5分で解説」をご覧ください。

【クロスセル】

クロスセルとは、商品購入時に関連商品を一緒にお勧めします。たとえば、新車を買う時に、車内用のテレビを併せてセールスするのです。

アップセルと同じように、単価が上がるだけでなく、顧客の利便性向上、時間の節約など満足度をアップさせることができます。

詳しくは「【クロスセルとは】初心者向けに初心者向けに意味・メリット・例を超簡単5分で解説」」をご覧ください。

【ダウンセル】

ダウンセルとは、売上ゼロを防ぐ方法です。買ってもらいたい商品をすすめたが、価格を理由に迷っている、もしくは断られた場合、もっと購入しやすい価格帯の商品やサービスをすすめることです。

少額でも財布を開いてもらうことで、次回の購入につながる可能性も見込めます。

詳しくは「【ダウンセルとは】初心者向けに初心者向けに意味・メリット・例を超簡単5分で解説」」をご覧ください。

セット販売

たとえば、「おひとり様3個まで」と書いておくと、「とりあえず、3個買っておくか」と思いやすくなりますね。単純に単価が3倍になります。

また、シリーズものなどをセットにして、少しお得な価格にして出す方法もあります。限定やお得感が伝わると、購入へのハードルをぐっと下げることができます。

松竹梅

売りたいと思う価格を中間に設定し、3パターンの価格帯で売る方法です。いくつかの選択肢があると、中間を選ぶ人が多いことが分かっています。また、一定の割合で高額なものを選ぶ人も表れますので、単価アップにつながります。

【例】

・プレミアムコース 30,000円
・レギュラーコース 20,000円
・ライトコース 15,000円

購買頻度のアップ

購買頻度のアップ
購買頻度のアップは、「次回購入までの間隔を短くする」「購入回数を増やす」というアプローチで可能になります。

たとえば、

・車や整体院などでは、「○ヶ月に○回はメンテナンスをしたほうが、効果があります」と啓蒙活動をする

・利用期限があるものを売る

・ポイントやスタンプなどは例えば3回で達成できるなど、すぐ来店したくなるような仕掛けにしておく(20回のスタンプカードなどイヤになってしまいますよね)

自社商品・サービスで何をすれば「次回購入までの間隔を短くする」「購入回数を増やす」を実現できるか考えてみましょう。

継続期間のアップ

継続期間のアップ
継続期間のアップはサブスクリプションが代表的です。高額なものは、たびたび購入するのが大きな抵抗になりますが、手の届きやすい価格のサブスクリプションであれば、継続しやすくなります。

ソフトウェアの利用、オンラインコミュニティ、Webツール、各種レンタル、顧問契約、健康や美容商品など、現在はサブスクリプションを活用する企業が増えています。

サブスクリプションを利用してもらうことで、継続的かつ安定的な収益につながります。また、自社のファンになってもらうことができれば、高額商品の提案も成約しやすくなる傾向があります。自社でサブスクリプションを活用できるポイントがないか、ぜひ考えてみてください。

ライフタイムバリュー(LTV)向上に欠かせない「関係性構築」「顧客教育」「顧客管理」

ライフタイムバリュー(LTV)向上に欠かせない「関係性構築」「顧客教育」「顧客管理」
以上、小さな会社でも簡単に取り組めるLTV向上策をお伝えしました。しかし、「購買単価」「購買頻度」「継続期間」のために売る方法だけを実施すればよいのではありません。

ひとりの顧客を得て、継続的なお付き合いに育てていくためには、コストがかかります。

特に新規顧客を獲得するときには、既存顧客にセールスするより5〜10倍のコストがかかると言われており、せっかく得た顧客と一度だけの取引で終了してしまうと、顧客獲得コストの回収が難しくなってしまうのは言うまでもないでしょう。

常に新規顧客獲得に追われるようになると、なかなか利益になりません。そうなると、LTVの向上にはつながりにくくなってしまいます。

それを防ぐには、顧客が継続的に自社の商品・サービスを購入してくれる環境を創り出し、それを仕組み化して保持することです。

そのためには、「関係性構築」「顧客教育」が大切です。セールスに偏りすぎず、日頃から顧客とのコミュニケーションを頻繁に行うようにしましょう。

顧客がどのような悩みや課題を抱え、どのような理想を手に入れたいと考えているのか情報収集しておく必要があります。

その上で顧客にとって価値有る情報の提供を行い、商品やサービスの必要性を伝えながら、信頼を築いていくのです。

営業マンが直接顧客とコミュケーションをする以外では、メルマガやダイレクトメール、ニュースレターなど、非対面での接触方法を取り入れるとよいでしょう。

また、「顧客管理」も大切です。見込客、新規顧客、既存顧客に分けて購買履歴を管理し、戦略的なセールス設計を計画してください。そのためにも数値測定、分析、仮説、検証、改善が必須です。

まとめ

まとめ
LTV(ライフタイムバリュー/生涯価値)は、ひとりの顧客が自社のサービス利用を終了するまでに「どのくらいのお金を払ってくれるのか(売上)」を表す指標です。

「購買単価」「購買頻度」「継続期間」の各要素をアップさせることでLTVを向上させることができます。LTVを最大化するためにはセールス設計の段階から戦略を練っておく必要があります。

LTV向上は行きあたりばったり、思いつきで実現はできません。再現性、持続性のある仕組みを自社で構築していきましょう。